腎臓の疾患

腎臓の疾患について

腎臓は体内の老廃物の排泄や水、電解質の調整・維持、造血ホルモンの産生、ビタミンDの活性などの機能があります。下記の疾患により腎臓の機能が低下すると、当初は自覚症状も無く経過しますが、進行して末期になると体むくむ、息切れがでる、貧血、骨がもろくなるなど様々な症状が出ます。各々の疾患により進行の速度は様々ですが、症状が出現するころには腎臓の機能が高度に低下しているため、早期に疾患の診断・治療が必要になります。

こんな症状はありませんか

  • 体がむくむ
  • 血圧が高い
  • 疲れやすい
  • 頻尿がある
  • 息切れがする
  • 尿が泡立つ
  • 立ちくらみなど貧血の症状がある
  • 健診で尿検査の異常がある

主な疾患紹介

慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病とは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、糸球体疾患などにより慢性的な腎障害をきたしている疾患をいいます。進行すると後述の末期腎不全をきたしたり、心血管疾患のリスクが高くなります。患者数は年々増加しており、日本では成人人口の約13%、1,330万人もの患者がいると言われ、新たな国民病とも考えられています。
急性腎障害・
末期腎不全
急性腎障害は何らかの原因で急激に腎臓機能が低下した状態をいいます。脱水や出血などによる腎前性、糸球体疾患などによる腎性、尿路の閉塞による腎後性に大別されます。早急な病態の鑑別および治療が必要になります。
末期腎不全は不可逆的に腎臓機能が高度に低下した状態をいい、倦怠感、息切れ、貧血などの症状などの尿毒症の症状がきたし、放置すると命に関わる状態となります。
高血圧性腎硬化症
高血圧性腎硬化症とは、高血圧が長い期間にわたって続くことにより、腎臓に流れる血管に動脈硬化が生じ、腎臓の血流量が減少してしまうことで腎臓機能が低下した状態をいいます。加齢による影響もあり、近年増加傾向にあります。
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症は糖尿病の合併症の1つで、糖尿病になって10~15年以上経過してから発症することが多いとされています。最近では糖尿病を持つ患者数の増加の影響もあり、透析療法の導入の原因疾患の1位となっています。早期診断と治療の介入が重要になります。
ネフローゼ症候群
腎臓から蛋白が尿に多量に漏れ出てしまい、血液中のたんぱく濃度が下がり(低たんぱく血症)、浮腫などの症状を呈する症候群です。様々な疾患に分類され、急激に発症する疾患もあれば緩徐に持続する疾患もあります。腎臓の機能が低下し腎不全に移行する可能性があるので、診断・適切な治療が必要です。
糸球体疾患
糸球体疾患は腎臓の中にある糸球体に炎症や血管の障害をきたす疾患です。血尿や蛋白尿、高血圧、めまい、むくみ、体の倦怠感、頭痛など人によってさまざまな症状が起こります。複数の疾患に分類され、症状や進行速度など特徴も様々です。各々の疾患の診断および適切な治療が必要です。

当院で行っている検査

血液検査
腎臓の健康状態を評価する重要な指標としてクレアチニン値を測定しています。また、より詳細な腎機能評価のためeGFR(推算糸球体濾過量)を算出し、クレアチニンの排泄能力を数値化しています。当院では単発的な検査結果だけでなく、過去の数値との比較を重視し、腎機能の変化傾向を継続的に観察しています。
尿検査
尿定性検査により尿蛋白、潜血反応の有無を確認します。尿沈渣検査では赤血球や白血球、円柱などの有無を観察します。これらに異常がある場合は尿中蛋白の定量や糖尿病がある場合は尿中アルブミン量の測定も行います。
画像検査
腎臓や尿路系の状態を視覚的に確認するため、腹部超音波検査とCT検査を実施しています。これらの検査では腎臓のサイズや形状の変化、内部構造の異常、腫瘍性病変の有無などを評価します。また血流の状態も確認でき、腎臓病の程度や進行状況の判断材料となります。

治療について

各々の疾患により治療は様々です。
慢性腎臓病においては原因疾患の治療が必要です。糖尿病や高血圧症などは各々の疾患に対する食事・運動および薬物療法が必要です。ネフローゼ症候群や糸球体疾患は原因疾患によりステロイドや免疫抑制薬などの薬物療法が必要になります。またいずれの疾患においても食事療法が重要です。蛋白、塩分、カリウム制限などが挙げられ、各々疾患に応じて調整が必要で、特に腎臓の機能が低下している場合は厳密な管理が必要です。
末期腎不全になると腎代替療法が必要になります。具体的には透析療法(血液・腹膜透析)、腎移植も選択肢に挙がります。
当院では専門医療機関との積極的な連携を行い、患者様に適した治療を行っています。

ご予約・受付

診療時間
8:30~12:00 / 14:30~17:30
※水曜午後、木曜午後、金曜午前は副院長のみの診療です。
休診日
火曜午後、土曜午後、日曜、祝日、年末年始