胆嚢・膵臓の疾患
胆嚢・膵臓の疾患について

胆のうは肝臓で作られた胆汁を溜めておく働きがあります。食事摂取の際に胆のうが収縮し、胆管を通って十二指腸に胆汁が排泄されます。疾患として胆石やポリープ、胆のう・胆管炎、胆のう・胆管がんなどが挙げられます。
膵臓は食べたものを消化する膵液を分泌したり、血糖を下げるインスリンなどのホルモンを分泌する働きがあります。膵臓の機能が低下すると消化不良を起こしたり、糖尿病を発症したりします。急性および慢性膵炎、がんやのう胞性疾患などの腫瘍性疾患などがあります。
こんな症状はありませんか
- 胃が痛い(上腹部痛)、背中側も痛む
- コーラのような濃い尿が出る
- 目や皮膚が黄色い
- 体重が減少する
- 嘔気・嘔吐がある
- 健診などで肝機能の異常を指摘
- 発熱がある
(咳など風邪症状が無い)
主な疾患紹介
- 胆のうポリープ
- 胆のうポリープは、健康診断や人間ドックで発見されることが多いですが、自覚症状がほとんどない点が特徴的です。ほとんどが良性ですが、初期の胆のうがんが含まれている場合や、悪性化する可能性を持つポリープが紛れ込んでいることもあるため、油断はできません。特に10mmを超えるサイズのものや急に大きくなっているもの、超音波検査で判断がつきにくいものは、精密検査を行い、状態をしっかり把握しておかなければなりません。
もし胆のうポリープが見つかったときは、最低でも年に1回は超音波検査を受け、変化の有無を確認することをおすすめしています。 - 胆のう結石症
- 胆のう内にコレステロールやビリルビンなどを成分とした結石ができた状態をいいます。無症状が半数以上ですが、胆のうの頸部や胆のう管に結石が嵌頓すると痛みや発熱などの疝痛発作を起こす場合があります。後述の胆のう炎、胆管炎の原因となります。
- 胆のう炎
- 胆のう結石による胆のう管の閉塞などが原因となり、胆のうに感染症をきたした状態です。腹痛、発熱などの症状をきたし、放置すると重症となる場合があります。
- 胆管炎
- 肝臓から十二指腸に胆汁を流出する胆管に感染症をきたした状態です。胆のう結石の胆管への落石、後述の胆管・膵臓がんによる胆管閉塞などが原因となります。腹痛、発熱、黄疸などの症状をきたし、放置すると重症となる可能性が高く予後が不良です。
- 胆管・胆のうがん
- 胆管、胆のうに発生したがんをいいます。早期では無症状であり、進行すると腹痛や黄疸などをきたします。胆のうがんは胆のう結石の合併が多いです。超音波やCT検査など画像検査が必須です。
- 膵臓がん
- 膵臓内に発生したがんをいいます。早期では無症状であり、進行すると腹痛や体重減少などをきたします。早期発見が非常に困難であり、診断時には進行した状態であることが多く、予後不良ながんです。危険因子には喫煙、大量飲酒、糖尿病、肥満など挙げられます。超音波やCT検査など画像検査が必須です。
- 急性膵炎
- 急性膵炎とは、何らかの原因で膵液内の消化酵素が膵臓自体を消化する疾患です。主な原因は過度な飲酒や高脂肪食、胆石、他に膵臓腫瘍や自己免疫性膵炎などが挙げられます。主な症状は、みぞおちや背中への激しい痛みや発熱、嘔気です。
重症化すると予後が不良ですので、早期診断・治療が必要になり、血液検査や超音波やCTなど画像検査が必須です。 - 慢性膵炎
- 慢性膵炎は、膵臓に長期間炎症が続くことで細胞が回復しにくいほど傷つき、膵臓の働きが低下する病気です。主な要因として過剰な飲酒が挙げられます。背中から上腹部にかけての鈍い痛みや、腹部膨満感、食欲の低下、下痢、体重減少などを引き起こします。また、インスリンの分泌が滞るので、糖尿病の合併リスクも高まります。
- 自己免疫性膵炎
- 自己免疫性膵炎とは自己の免疫(IgG4という抗体が関与)が膵臓に炎症を起こす病気です、膵臓が腫れ上がる、胆管や膵管の流れが悪くなるなど、黄疸や腹痛、発熱などをきたします。IgG4関連疾患の一つであり、胆管や涙腺、唾液腺、腎臓など様々な臓器に炎症を起こす可能性がある病気です。ステロイドによる治療の他、黄疸などをきたした場合は内視鏡治療などが必要になります。
- 膵のう胞性疾患
- 膵のう胞とは、膵臓内に膵液や粘液を含んだ袋状の構造物です。急性・慢性膵炎に発症するものや腫瘍性があります。腫瘍性の膵のう胞は無症状の場合が多く、健康診断や人間ドックなどで偶然発見されるケースが多く見られます。多くは良性腫瘍ですが、まれにがんが混在している場合があり、画像検査による経過観察が必要です。
当院で行っている検査
- 血液検査
- 胆のう炎、胆管炎、膵炎などの炎症性疾患では白血球やCRPの上昇、肝障害、膵酵素上昇などが見られます。胆のう・胆管・膵臓がんでは早期の段階では目立った異常がないことが多いですが、進行すると肝障害、膵酵素の上昇、腫瘍マーカーの上昇がみられます。
- 画像検査
(CT・超音波検査) - 各々の疾患に特徴的な所見があり、診断に有用です。胆のう炎、胆管炎、膵炎などの急性疾患では画像検査により重症度の判断も可能です。胆のうがんは早期診断として超音波検査はとても有用です。胆管がん、膵臓がんは早期診断は困難なことが多いですが、CT・超音波の画像検査による診断が必須です。
治療について

胆のう炎、胆管炎、急性膵炎などの急性疾患は速やかに診断の上、基本的には医療機関での入院治療が必要です。
胆のう結石、胆のうポリープ、膵のう胞性疾患などは超音波やCT検査による画像検査による経過観察が必要です。
胆のう、胆管がん、膵臓がんにおいては専門医療機関への紹介を含め、適切な診断・治療が必要です。専門医による高度な知識と経験を生かし、患者様ごとに適切な治療方法の提案を行います。